みなさんこんにちは。遠藤木型の遠藤です。
世間がワールドカップの話題で大いに盛り上がっている今日。私は久しぶりに、あの強烈な個性を放つ湯と波音の外気浴が恋しくなり、大樹町の「晩成温泉」へと車を走らせました。いつかこの町でロケットの鋳型を……というモノづくりの夢を綴った、私にとって大切で、定期的に帰ってきたくなる定点観測の地です。
あいにくの雨模様でしたが、北海道の大地をゆったりと走るドライブは、それだけで最高のリフレッシュになります。

過去の反省(バグ)を修正した、道中の美味しい仕込み
今回の晩成温泉への到着予定時刻は14時20分ごろ。温泉にある食堂が14時で閉まってしまうことは、あらかじめ分かっていました。以前訪れた際、営業時間に「ギリギリアウト」で間に合わず、自販機ご飯になった苦い経験があったからです(笑)。同じ失敗を繰り返さないのは、設計や製造の世界でも基本中の基本。
そこで今回は、パンの種類が非常に充実している「道の駅・忠類」を中継地点に設定し、あらかじめお昼ご飯のパンを仕込んでおく作戦に出ました。物産コーナーを覗くと、幕別町の放牧豚を使った「ASOBUTAハンバーグ」がとても美味しそうだったので、こちらはお土産にしっかり購入。ちなみに、高速のインターで購入した「長芋スティック」も絶品でした。サクッとした絶妙な味付けの衣と、中のホクホク感がたまりません。
14時20分、予定通り晩成温泉に到着。食堂の暖簾は下がっていましたが、今回は忠類の美味しいパンがある。過去の反省を活かした、大満足のランチタイムとなりました。



休憩所の熱気と、勝利を確信した15分間
館内へ入ると、何やら休憩所が不思議な熱気に包まれていました。テレビの前にお風呂上がりのお客さんたちが集まり、じっと画面を見つめて人だかりを作っています。ちょうどワールドカップの日本対チュニジア戦、後半の最も熱い真っ只中でした。
本田選手や香川選手が活躍していた頃はよく見ていましたが、最近はテレビを見る習慣も減り、選手の名前も分からなくなっていました。しかし、せっかくの機会なので私もその輪に加わり、15分ほど一緒に画面を凝視することに。すると目の前で、日本代表が相手のゴールネットを揺らす決定的な瞬間が訪れました。これで「3-0」。休憩所がワッと湧き、このリードなら勝負は決まったと確信したところで、私は心地よい興奮を胸に浴場へと向かいました(※湯上がりに確認したら、その後4-0の快勝だったようです)。
食堂の時間には間に合わなかったけれど、この熱狂の瞬間を現地の皆さんとリアルタイムで分かち合えたのは、14時20分着というタイムスケジュールが生んだ嬉しいサプライズでした。


雨がもたらした最適環境と、44度の湯に刻まれた息子の成長
窓の外は雨煙る太平洋の絶景が広がっています。一見すると残念な天気に思えますが、実は雨の日こそ、サウナーにとっては「隠れたボーナタイム」です。なぜなら、外気浴において最大のノイズとなる「虫」が一切活動しないから。静かで、驚くほど快適な空間が約束されているのです。
ここの自慢は、国内でも有数の濃度を誇る、ヨードを大量に含んだ濃い茶褐色の湯。サウナ室はしっかりと熱い96度を指しており、嬉しいことにセルフロウリュが可能。自分のペースでじわっと心地よい熱気を引き出せます。そこから体感15度ほどの「ちょうど良い」冷たさの水風呂を経て、太平洋の波音と涼しい雨の風を浴びる外気浴は、まさに至福の一言です。
そして、この素晴らしい温泉にしっかり浸かる中で、外せないのがガツンとくる44度前後の「高温湯」。
この熱い湯船に身を沈めているとき、ふと昔の記憶がよみがえりました。息子が保育園や小学校の低学年だった頃、この44度の高温湯に好んでよく一緒に入っていたものです。当時は子どもながらに「熱い湯に入れる俺、カッコいい」とでも思っていたのでしょうか。少し背伸びをして、誇らしげな顔で隣に並んでいた小さな姿が、今でも鮮明に思い出されます。
そんな息子も、5年生になった頃から、この高温湯にはすっかり入らなくなりました。「熱いからパス」とクールに去っていく今の姿に、一端の男になりつつある成長の頼もしさと、ほんの少しの寂しさを覚えます。湯船の「44度」という絶対的な数値スペックはあの頃と何も変わらないのに、そこに浸かる我が子のライフステージの変化によって、受け取る情緒がここまで変わる。温泉には、こういう家族の記憶が染み込んでいるからこそ、たまらなく愛おしいのだと感じます。
温泉の力強さとサウナの爽快感を交互に引き出すルーティンで、頭の中がすっきりとクリアになり、最高に調う時間を堪能しました。



湯上がりの至福と、タフな遊び心
極上のルーティンを終えたお風呂上がりには、ロビーで地元・大樹町の「半田ファーム」のソフトクリームをいただきました。ストレスなく育てられた牛の新鮮なミルクを使ったソフトは、体にすっと染み渡るような自然な甘さ。火照った身体を優しくクールダウンしてくれる最高の湯上がりデザートです。
荷物をまとめて外に出ると、行きには気づかなかったのですが、敷地内にはもうテントが少し張られており、雨のなかキャンプを楽しんでいる人たちの姿がありました。どんよりとした雨空をもろともせず、それぞれのスタイルで自然と休日を遊び尽くすそのタフな姿勢。なんだか、モノづくりにこだわる我々にも通じるような、心地よいエネルギーを帰り際にもらった気分になりました。
予期せぬ通行止めと、滑り込みの一杯
しかし、旅の終わりにはもう一つ、予想外の試練が待っていました。 帰りの高速道路がまさかの通行止めになり、途中の追分で降りることを余儀なくされたのです。
想定外のルート変更とタイムロスに焦りつつも、なんとか目的のラーメン店「綱取物語」に滑り込んだのは、夜の8時40分。営業終了間際の、本当にギリギリの時間でした。
滑り込みで注文した味噌ラーメンは、冷えた体と運転の疲れに深く染み渡りました。濃厚なスープの上にたっぷりのったおろし生姜がアクセントになり、縮れ麺に絡んでたまらなく美味しい。香ばしい炙りチャーシューがのったミニ丼とともに、最後のハプニングすら最高のスパイスに変えてくれるような、完璧な締めくくりとなりました。
過去の失敗を教訓に変え、雨を味方につけて極上の湯浴みを堪能し、我が子の成長やサッカーの熱気に触れ、最後はハプニングを乗り越えて極上の美味で締める。素晴らしい1日でしたが、やっぱりこれが鉄則ですね。

「日帰り遠出は余裕持ちましょう」
明日からまた、この調えられた心身で、一文字、一ミリの間違いもない、誠実で精緻なモノづくりに励んでまいります。

