いつも遠藤木型のブログをご覧いただき、ありがとうございます。
突然ですが、「家で作るご飯」が、高価なお店の料理より美味しいと感じたことはありませんか?
お店の料理は、コストや時間、採算といった制約の中で作られます。一方、家のご飯なら、じっくり時間をかけて、好きな素材を使うことができます。だからこそ、作り手のこだわりと愛情が詰まった、特別に美味しいものが生まれます。
実は「椅子の世界」にも、これと似たことがあります。
このたび「小別沢木工塾展 2026」が開催され、弊社の専務・遠藤智子が作品を出品することになりました。

プロではなくても、プロ顔負け。時間をかけて突き詰めた椅子
この展示会は、プロの木工家ではない木工塾の受講生たちが作った、たくさんの椅子や家具を集めた作品展です。チラシに載っている作品だけでなく、ほかにも多数の作品が展示される予定です。
「プロではない」と聞くと、素人の作品展を想像されるかもしれません。でも、ものづくりの腕は肩書きだけでは決まらないと、木型屋の私は思っています。
私自身、昔は師匠のもとで手作りを徹底的に教わりました。「なぜこの順番で作るのか」という理由まで理屈をしっかり教わり、体で納得してから手を動かすのと、ただ表面的なやり方だけをなぞるのとでは、仕上がりに決定的な差が出ます。独学の方や、学校を出て家具屋さんで働いた方もいますが、一人の師匠のもとで長く学んだ人の仕事には、独特の強さと確かさがあります。
この木工塾の塾生さんも、高橋先生のもとで時間をかけて腕を磨いています。自宅にプロが使うような設備を揃えている方もいて、プロの作品に負けない椅子が生まれることもあります。
出品者の一人、岡島徹さんはチラシにこう綴っています。「趣味で楽しんで時間をかけて、、、だからこそ各々の作りたい椅子をとことん突き詰めて完成させます」。そして、続けていると必ず作り手の個性が出てくるので、そこにも注目してほしいとのことです。
仕事ではなく趣味として、自分が作りたい椅子にじっくり向き合う。家のご飯と同じように、時間をかけられるからこそ生まれる一脚があります。
ロッキングチェア、ベンチ、スツール、ダイニングチェアと、十数名の塾生の個性あふれる作品が並びます。

木工塾を主宰する高橋三太郎先生とは
小別沢木工塾(木の椅子塾 Sapporo)を主宰するのは、札幌を拠点に活動する木工作家・椅子デザイナーの高橋三太郎先生です。1982年に札幌で「家具工房 santaro」を設立されました。
高橋先生は、北海道の津別町にある「山上木工」と協働し、「ISU-WORKS(イスワークス)」というプロジェクトでも椅子を発表しています。座り心地の良い無垢材の椅子を数多く生み出し、北海道クラフトグランプリ グランプリ、芸術の森大賞などを受賞されました。東京国立近代美術館工芸館の「現代の木工家具9人展」にも出品されています。
木工塾のテーマは「つくるを楽しむ」。自分で使う椅子を自分の手で作る楽しさを、長年伝え続けておられます。
私も旭川デザインセンターや展示会などで、高橋先生の椅子に座らせていただいたことがあります。とても座りやすく、体が楽でした。
同じ木を使う仕事でも、木型と椅子はまったく違う
私たち遠藤木型は、普段「鋳造用木型」という工業製品の原型を作っています。
木型は今ではNC加工機で作ることが増え、手作りは減りました。椅子の世界も同じで、海外製や機械で多くを加工したものが増えています。手で作られた椅子を目にする機会は、なかなかないのではないでしょうか。
同じ木を削る仕事ですが、木型と家具では求められる性質が正反対です。
- 使う木の違い
木型は狂いが出ないよう「加工しやすく反らない木」を使いますが、体重を預ける椅子には「硬く粘り強い、耐久性のある木」を使います。 - 「ごまかし方」の違い
木型は最終的に砂型を抜くためのものなので、ミリ単位以下の精度を出しつつ、パテで均したり塗装をして仕上げます。しかし無垢の椅子は、木目も継ぎ目もむき出しで、パテや塗装は通用しません。その代わり、数ミリの誤差なら全体のラインを見ながら手作業で自然に馴染ませるという、木型とは全く違うアプローチが必要になります。
「木型だけでなく、木を使っていろいろなモノを生み出せるようになりたい」。そう考えていた時、お付き合いのある河野銘木店さんで高橋三太郎先生のお話を伺ったことがきっかけとなり、専務がこの木工塾へ通い始めました。
専務が出品する椅子
今回専務が出品するのは、無垢の木で作った椅子です。パテや塗装でごまかせない木と正面から向き合って、仕上げました。
ぜひ会場で、手仕事の熱量に触れてみてください
もしお時間があれば、お越しになる前に、家具店や展示会などで一度木の椅子に座ってみてください。そのうえで会場の椅子をご覧いただくと、違いが感じられるかもしれません。
会場には塾生が交代で来ています。師匠のもとで時間をかけて椅子を作ってきた人に会い、制作のことを直接質問できる、良い機会です。
- 時間をかけて作られた、一点ものの家具を見てみたい
- 木型屋が本気で挑んだ無垢の椅子を見てみたい
- 手仕事や木のぬくもりが好き
そんな方には、きっと楽しんでいただける空間です。会場はJR札幌駅北口から歩いて5分ほど、ほぼ平坦な道です。入場は無料ですので、お散歩やお買い物の合間に、お気軽にお立ち寄りください。皆さまのお越しを心よりお待ちしております。

【展示会 開催概要】
- 展覧会名:小別沢木工塾展 2026(木の椅子塾 Sapporo)
- 会期:2026年11月11日(水)〜11月15日(日)
- 時間:11:00〜18:00(最終日は17:00まで)
- 会場:GALLERY ESSE(ギャラリー エッセ)
- 住所:札幌市北区北9条西3丁目9-1 ル・ノール北9条 1F
- アクセス:JR札幌駅北口より徒歩約5分(約400m)
- 電話:011-206-7338
- 入場料:無料
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